妊娠中の患者さんにはどう対応する?

妊娠中の女性は身体的な変化に伴い、心理的、社会的にも変化が大きい時期になります。 日常生活にも制限がかかる事柄が多く、精神的にも不安定になりやすいと考えられます。 歯科に関しても同じで、妊娠すると口腔内にも変化が生じてきます。 身近の妊娠した女性たちの話を聞いていると、身体全体の変化や赤ちゃんに関しての知識を非常によく勉強していることがうかがえます。 しかし、口腔内の変化に対しては、まだまだお母さんたちに浸透していない部分が多いのでは?と感じています。 お母さんと赤ちゃんのためになる、歯科医療をお届けできるよう、一緒に考えてみましょう。

2019年3月25日 更新
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妊娠中の女性は身体的な変化に伴い、心理的、社会的にも変化が大きい時期になります。
日常生活にも制限がかかる事柄が多く、精神的にも不安定になりやすいと考えられます。

歯科に関しても同じで、妊娠すると口腔内にも変化が生じてきます。

身近の妊娠した女性たちの話を聞いていると、身体全体の変化や赤ちゃんに関しての知識を非常によく勉強していることがうかがえます。
しかし、口腔内の変化に対しては、まだまだお母さんたちに浸透していない部分が多いのでは?と感じています。

お母さんと赤ちゃんのためになる、歯科医療をお届けできるよう、一緒に考えてみましょう。

妊娠中の患者さんの変化

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一般的な特徴として、初期には悪阻、流産、中期には貧血、静脈瘤、後期には妊娠性高血圧症候群、早産など、たくさんのリスクを抱えています。
思うように日常生活がおくれず、歯科医院への受診は後回しになってしまうこともあるでしょう。
妊娠中の患者さんが来院された際には、体調の変化やユニットの倒し加減、腹部への負担などを、気遣うことが大切です。

しかし、妊娠中には口腔内にもさまざまな変化が生じています。
・ホルモンバランスの変化(エストロゲン・プロゲストロンの増加)による唾液の分泌量の変動
・食事の内容や回数の変化 ・悪阻によりブラッシングが不十分
・妊娠性エプーリス ・妊娠性歯肉炎
・慢性辺縁性歯周炎 ・口内炎
などが挙げられます。
これらの疾患の中には、出産後には軽減・消失するものもあります。
妊娠している患者さんを診る場合には、他の患者さんとは違う目線で医療面接や口腔内診査を行う必要がありますね!

X線写真撮影は胎児にどう影響する?

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X線写真撮影に関しての質問は、妊娠中、また妊活中の患者さんからはよく聞かれるかと思います。

結論として、X線写真撮影による胎児への影響はほとんどありません。
むしろX線撮影により、口腔内の状態をより詳しく精査できるというメリットをお伝えしましょう。

とは言っても、見えない放射腺の危険性を不安に感じる妊婦さんは多いです。
いくつかお伝えする方法がありますのでご紹介させてください。

普段の日常生活でも放射線を浴びている
宇宙線や地中からの放射線を自然放射と呼びますが、日本人の年間平均被爆量は1.5mSv程度と言われています。
それに比べて、歯科の口内法X線撮影は0.01mSv程度です。またパノラマX線撮影は0.02mSv程度とされています。

なので歯科医療で使用する放射線は、普段浴びているものを比較すると小さいことがわかります。

東京~ニューヨークを往復することは、歯科のX線撮影の10倍くらい被爆している
これは、勤務先の歯科医師もよく患者さんにお話するのですが、飛行機に乗ると宇宙線を浴びます。
東京~ニューヨークを往復するくらいの距離での放射線量はおよそ0.2mSv程度だといわれています。

こちらに関しても、歯科医療でのエックス線撮影は身体に大きく危害を加えるものではないということがわかります。
海外旅行などによく行かれる患者さんには、この説明が分かりやすいと私個人で感じています。


患者さんによってはたくさん説明していても、なかなか同意を得られないこともあるかもしれません。
放射能の数値を図で表したポスター等もありますので、そういった目で見てわかりやすい媒体を利用するのも手だと思います。
患者さんの心配する気持ちをできるだけ取り除き、きもちよく歯科医療を受けてもらえるようにしたいですね。

妊娠中の患者さんに伝えたい!大切なポイント

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妊娠中でも治療は可能です
基本的な歯科治療は妊娠のどの時期であっても可能です。
特に安定期では、お腹の赤ちゃんにほとんど影響がないとされています。

それから麻酔に関して、懸念される患者さんが多いのですが、安定期に入ったら影響がないことをお話します。
それよりも、歯や歯肉の痛みを我慢することによるストレスの方が、お母さんにも赤ちゃんにも悪影響を及ぼすと考えます。

痛みを感じたときなどは無理せず受診してもらうよう、お母さんたちにお伝えしましょう。

また妊娠中は悪阻や出産の準備などで、日常生活が忙しくなることと思います。
できれば妊娠前に、口腔内の状態を整えておくのがベストです!

私も、妊活中の患者さんには虫歯や歯周病、不適合補綴などは、なるべく妊娠前に治療完了すると良いとお伝えしております。
ベストな状態で妊娠を迎えると、妊娠してから起こる口腔内の変化にも対応しやすいですよね。

妊娠中は虫歯・歯周病のリスクが上がります
妊娠中は、ホルモンバランスの変化により、唾液の分泌量が変動します。
また悪阻により、食事の内容や回数、歯磨きが十分に行なえない可能性があります。

つまり、口腔清掃が不十分なことにより、齲蝕や歯周病を発症しやすい環境にあります。
歯科衛生士の私たちはよく知っていますが、虫歯菌や歯周病菌は、食器や口移しによって赤ちゃんに移ります。
赤ちゃんの養育者として、お母さんの口腔内環境は大切だということに関心を持ってもらえるといいですね。

それから妊娠性特有の口腔疾患にかかることもあります。
冒頭でもお話したような妊娠性歯肉炎・妊娠性エプーリスなどが挙げられます。
患者さんにお話すると、知らない方が多いように感じますので、今度機会があったらお伝えしてみてください。

おわりに

妊娠中は心身ともに敏感でナイーブな時期です。

妊娠中、又は妊活中の患者さんに出会うと、他の患者さんよりも質問が多いことがわかります。
大切な赤ちゃんを守るために、不安や疑問がたくさん湧いてきているのが伝わってきます。

不安を感じる気持ちはよくわかりますが、それによってやるべき歯科治療が行われないのはとても残念なことです。

妊娠中は、お酒、薬、激しい運動など、控える事柄が多いため、歯科医院も嫌煙されがちなのだと感じます。
そんなときこそ定期的な受診が大切だということをもっと世のお母さんたちにお伝えしていきたいですね。
歯科衛生士の立場から、患者さんに正しい知識を多くの人に提供できるよう、日々取り組んでいきたいものです。
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nana nana