【TBI】マニュアル通りじゃダメ?これからのTBIとは

何度もTBIをおこなっていると、『自分だけのTBIマニュアル』ができあがってしまい、教科書のような指導ばかりしている歯科衛生士も多いのではないでしょうか? あなたも「この歯磨剤にはこんな効果があるので、これを使ってください」など、気づけば全員の患者さんにいつも同じようなTBIをおこなっていませんか? 今回は、これからのTBIの在り方について、歯科衛生士がご紹介します。

2018年6月29日 更新
88 view
歯周炎は、プラークが原因で起こる病気です。
そのため、歯周炎を予防したり治すためには、歯医者で治療をおこなうだけでなく、患者さん自身に正しいプラークコントロールを覚えていただく必要がありますよね。

そこでわたし達歯科衛生士の出番です!

歯周炎になった患者さんの治療には、まずはTBIをおこないます。その後、わたし達歯科衛生士がSRPをおこない再評価がおこなわれますよね。

でも、不思議ではありませんか?
もちろんブラッシングをするだけでも、歯肉縁上のプラークが除去できるので、それだけでもある程度は歯ぐきの炎症を改善することができます。

しかし最初からSRPをおこなえば、歯肉縁下のプラークも取れるし、歯周ポケットにいる細菌数の数を一気に減らすことができるはずですよね。

なぜ、わざわざTBIからおこなう必要があるのでしょうか?

SRPの前にTBIをおこなう意味

 (542)

もし、TBIを十分おこなわずSRPだけをおこなうとどうなるのでしょうか?
もちろんその場合も、歯周炎の症状はある程度は改善していくでしょう。
でも残念ながら、これだけでは問題は解決しません。
その理由は、歯肉縁上のプラークコントロールが十分おこなわれてない口腔内では、プラークが再結成されやすく、治りが悪いばかりかまた歯周炎を再発してしまうからです。
 
一方で、プラークコントロールが十分できている口腔環境でSRPをおこなえば、歯周炎の治りも早く、歯周組織の健康状態も長く維持することができるのです。

TBIのカギは「患者さんのモチベーション維持」

TBIは繰り返し行うことが重要です。
もちろん技術的な指導も大切ですが、それだけでは患者さんの歯周炎は良くなりません。
なぜなら患者さんのブラッシングに対するモチベーションが下がれば、口腔環境は簡単に元に戻ってしまうからです。
 
1度ブラッシングテクニックが上達した患者さんでも、時間の経過とともにまた以前のような『自己流のブラッシング方法』に戻ってしまった…というのは珍しいことではありませんよね。
 
患者さんの口腔内にプラークの付着があるということは、少なくとも数日はその部分のブラッシングができていなかったことを意味しています。
また、一見綺麗に磨けていても歯肉に炎症があれば、その患者さんは治療に来る直前だけしっかりブラシイングをしてきたことを意味しています。
 
だからこそわたし達歯科衛生士は、このような患者さんのブラッシングに対するモチベーションを長く維持していくために、「繰り返し」TBIをおこなっていく必要があるのです。

マニュアル通りのTBIをしていませんか?

 (543)

何度もTBIをおこなっていると、『自分だけのTBIマニュアル』ができあがってしまい、教科書のような指導ばかりしている歯科衛生士も多いのではないでしょうか?

あなたも「この歯磨剤にはこんな効果があるので、これを使ってください」など、気づけば全員の患者さんにいつも同じようなTBIをおこなっていませんか?

実はわたしも無意識に『マニュアル化された指導』を続けていた1人です。
でも、その指導を続けていても、患者さんのブラッシングに対するモチベーションが長続きしないことに気づいたんです。

「このままではいけない…」

そこからわたしは「あなたの口腔内にはこんな問題があります。その問題に効くにはこの成分が入った歯磨剤なんですよ」と、『あなただけ』にフォーカスした指導を心がけるように変えていきました。

その他にも

①食生活
②口腔環境
③歯列の状態


など患者さんの背景によってTBIの方法を提案するようにしたんです。

例えば、食生活には問題なくても②や③の口腔環境や歯列に問題がある患者さんには、虫歯や歯周炎予防をメインにしたTBIをおこない、①の食生活に問題がある患者さんには、食生活についてのアドバイスをまずメインにおこなうことで、その後のTBIをスムーズに進めることができました。

そしてもっとも大切なことは、その患者さんが自分の口腔内に『どれだけ関心をもっているか』を知ることです。

そのためにはまず患者さん自身に、『自分の今の口腔内がどんな状況なのか』を知っていただくことが大切です。

「もっと口腔環境を良くしたい!」という意志が患者さんの中に生まれてくれれば、TBIでおこなった指導も自主的に受け入れていただけるし、食生活も自然と改善されていきます。

患者さん1人1人の違いを意識し、その患者さんに合ったオーダーメイドの指導やセルフケア用品を提案することで、『マニュアル化された指導』を続けていたときよりも、患者さんのモチベーションが長続きすることを実感したんです。

おわりに

 (544)

実際の診療現場では、教科書通りの指導を当てはめることはできません。
患者さん1人1人が違うように、オーダーメイドのようにその患者さん『個人』に合った指導を考えていかなくては、患者さんのモチベーション維持は難しいのではないでしょうか?

患者さんのブラッシングのモチベーションを維持していくのは、本当に難しいことです。

あなたも以前のわたしのように、「TBIをおこなってもなかなか患者さんの口腔環境が良くならない…」と悩んでいませんか?

患者さんに1人1人に合ったTBIをおこなうには、患者さんの生活背景や検査データを元に指導内容を組み立てていくことが大切です。

患者さんの虫歯リスクが高い場所はどこか、ブラッシングが苦手な場所はどこなのかをしっかり伝え、記録として残すことで、患者さんもあなたに対して安心感や信頼感をもって下さると思います。

オーダーメイドの指導ができるように、わたし達歯科衛生士もセルフケア用品についての知識をもっと深め、患者さんに合ったTBIを提案できるように、勉強し続けなくてはいけないなと感じています。

12 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

インプラントコーディネーターとは

インプラントコーディネーターとは

歯科治療としてしっかり地位を築いているインプラント治療。しかし自費治療ゆえに患者さんは「もっとしっかりじっくり相談をして治療を始めたい」「治療後も分からないことだらけなので話を聞いてほしい」…そんなお悩みに寄り添う“インプラントコーディネーター”とは?まとめてみました。
yuna | 48 view
日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士とは

日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士とは

歯列矯正と聞くと小児が中心のイメージですが、最近は成人になってから矯正を検討する人も少なくありません。日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士とはどのような資格なのでしょうか?気になる点をまとめてみました。
yuna | 31 view
歯科衛生士向けのセミナーとは?行かなくても良い?

歯科衛生士向けのセミナーとは?行かなくても良い?

スキルアップをするための一つの手段、セミナー参加。歯科衛生士向けのセミナーってどんなもの?気を付けることはあるの?疑問点をまとめました。
yuna | 63 view
印象採得の上達は矯正歯科が近道!?ポイントを教えます

印象採得の上達は矯正歯科が近道!?ポイントを教えます

印象採得、それは歯科衛生士が一番苦戦する作業なのではないでしょうか。 矯正歯科に勤める歯科衛生士は、頻繁に印象採得が行うので、驚くほど上達します。 今回は現役歯科衛生士が、矯正歯科での印象採得についてお話します。
おぬまさら | 127 view
アシスト上手な歯科衛生士に!ポイントまとめ

アシスト上手な歯科衛生士に!ポイントまとめ

歯科衛生士の三大業務のうちの一つ、歯科診療補助。この診療補助がこなせないと、歯科予防処置や歯科保健指導をさせてもらえないという医院もあるとか…。基礎の扱いだけど奥が深いアシストについて、歯科衛生士の目線からポイントを解説します! というわけで、今回は“歯科診療補助(通称アシスト業務!)”についてまとめてみました。
yuna | 121 view

この記事のキュレーター

まみん まみん