患者さんのお口に合った歯磨き粉の選び方とは?

「歯磨き粉のおすすめはありますか?」そう患者さんに言われてドキッとした事はありませんか?そんな中で、私たち歯科衛生士が患者さんの為に伝えられる事とは何なのでしょう。ただ情報を伝える事だけではなく、ポイントをおさえながら対応してみる様にしましょう。

2018年9月10日 更新
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「沢山種類があってどんな歯磨き粉を使えばいいのか分からない。おすすめはありますか?」そう患者さんに言われてドキッとした事はありませんか?

昔に比べ虫歯予防・歯周病予防がやっと定着してきた今、歯磨き粉も多様化してきています。そんな中で、私たち歯科衛生士が患者さんの為に伝えられる事とは何なのでしょうか。

ただ情報を伝える事だけではなく、ポイントをおさえながら対応してみる様にしましょう。

必要なのは教科書で学べる知識だけではない

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患者さんにとっては、新人歯科衛生士も「歯のプロフェッショナル」です。質問したからには、良い答えが返ってくると思っているはずです。そんな中で、

「どれでも構いませんよ。」
「色々あるので私も分かりませんね。」

と、答えてしまうときっと患者さんも期待外れと感じる事でしょうし、それではより良い信頼関係が保てるとは言い難いです。

では、自信を持って歯磨き粉を勧めるには何から手をつければ良いのでしょう。学生時代の教科書をめくっても学べるのは、“フッ素配合の物が虫歯予防に良い”程度です。では患者さんの目線に立つという意味で、色んな歯磨き粉を自分で試してみるとします。刺激感・味など、使用した事で得る情報も大切だとは思いますが、それはあくまで個人的な感想であって、自分の好みと患者さんの要望が一致するとは限りません。

なので

「私はこれを使ってます!おすすめですよ!」

と、ただ伝えるだけでは、見当違いなイマイチ回答なのです。患者さんの要望に応える為に必要な事、それは“患者さんの状態を把握する事”つまり、“患者さんの口腔内の状態を把握する為の観察力とコミュニケーション力”が歯科衛生士には求められています。

どう選ぶ?? ケース別で見るが磨き粉の選び方

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歯の着色を気にしているAさん(40歳)

<状況>
・ 日常的な喫煙で着色が多い
・ 喫煙は辞められないがせめてブラッシングで着色の軽減はしたい
・ 気にするあまり、強い力で磨きがち
・ 現在、虫歯も知覚過敏もなくいたって健康
Aさんの一番の要望は着色を落とす歯磨き粉です。となれば、頭に浮かぶのは研磨剤を配合した物ではないでしょうか。

確かに研磨剤は着色を落とすのに効果的ですが、注意しておきたいのは研磨剤による歯へのダメージです。日々使用する事で、少しずつですが歯のエナメル質は削られていきます。適度なブラッシングなら構いませんが、Aさんの場合、歯茎下りがあり、これは磨く力が強い方に多く見られます。これが“観察力”です。Aさんに話を聞いてみると、「気になるからついゴシゴシ磨いてしまってね、気にしてても無意識に力が入ってしまうよ。」と言います。こうして患者さんから現状を聞き出す事が“コミュニケーション力”です。これらから、普段から磨く力が強いのでダメージは大きいと考えられます。では、どうすればよいのか。

例えばこういった回答はどうでしょうか。

「普段のブラッシングで着色を落とすなら、研磨剤がしっかりと入った歯磨き粉が良いですね。ですが、研磨剤は少しずつ歯の表面も削ってしまいます。Aさんは磨く力が強いので、余計に歯のダメージが大きくなってしまう恐れがあるので心配です。そこで提案があるのですが、研磨の効果が高い歯磨き粉は週三や夜だけと決めて、他は歯へのダメージが少ない低研磨のものを使うのはいかがでしょう?」

こう回答する事で、患者さんの要望である“着色を落としたい”に応える事が出来た上に、患者さん自身では気づかなかった“歯へのダメージを予防”する事が出来ます。なので、Aさんには研磨剤の入ったものと、低研磨・無研磨の歯磨き粉の2種類兼用を勧めるのが的確です。

※最近では歯の着色を浮かせて落とす歯磨き粉もありますのでそちらを勧めるのもよいと思いますが、研磨剤の事を知ってもらう為にも今回はこの様な回答例を選んでみました。

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知覚過敏に悩むBさん(60歳)

<状況>
・歳をとるにつれ歯茎下りが目立つ様に
・時々冷たいものが歯にしみて気になる
・治療する程ではないと言われているし本人も削りたくはない
Aさんはブラッシング圧による歯茎下りが起きていましたが、年齢的な原因でも歯茎下りは起こります。歯茎下りを“観察力”で見つけ、まだ削りたくはないという意思を“コミュニケーション力”で得たので、症状軽減に向かえるよう考えていきましょう。

まず、歯の頭は硬いエナメル質に覆われていますが、根元はもろく虫歯になりやすいです。なので虫歯予防として、フッ素配合の歯磨き粉の使用が的確です。しかし、それだけでは知覚過敏の症状軽減には物足りないので、ここでは、根面を保護する効果を持つ知覚過敏向けの歯磨き粉を選択します。患者さんには、

「歯茎が下がってきたことで、根が露出してきています。根の部分はもろく虫歯になりやすいので注意が必要です。虫歯予防にはフッ素が効果的で、しみる症状を抑える成分が入った歯磨き粉もありますので、その両方が入っているものを使ってみてはいかがでしょう?」

こう回答する事で、患者さんの要望である“しみる症状を軽減させたい”に応える事が出来た上に、患者さん自身では気づかなかった“虫歯予防”をする事が出来ます。なので、Bさんにはフッ素配合された知覚過敏に効果的な歯磨き粉の使用を勧めるのが的確です。

おわりに

歯磨き粉一つにしても、患者さんは衛生士さんのアドバイスを期待しています。会話の中から患者さんの習慣や心情を上手く聞き取り、要望に添えるような歯科衛生士になって下さい。きっと患者さんとの信頼関係も深まるはずです。
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